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人生で大切にしていることに沿って行動する


 

執筆者:大野 史(BANSO-CO ばんそうメイト)

保有資格:公認心理師・臨床心理士

 

前回は、「価値の明確化」で、あなたの人生にとって大切なことを確認し、これに沿った人生を送るヒントをお送りしました。人生で大切にしていることに沿った行動を取ることは、充実した生活を送るための基本です。しかし、価値観を明確にしても、行動に移すのは難しいことがあります。これは、認知的フュージョン(考えにとらわれすぎる状態)が原因と言われています。


今回は、アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)の手法から、この問題に対処するための効果的なアプローチをご紹介します。


認知的フュージョン

認知的フュージョンとは、自分の思考に強くとらわれ、それが行動を制約する状態を指します。「失敗するかもしれない」という思考にとらわれることで、新しい挑戦を常に避けてしまうことがあります。それでは、いつまでたっても望まない現状のままかもしれませんね。


例えば、蚊に刺されたとき、掻けば掻くほどかゆみが増しますよね。思考も同じで、ある思考をなくそうとすればするほどその思考が強く頭の中に留まります。このような状態を「ぐるぐる思考」と言ったりします。「ぐるぐる思考」中はまさに認知フュージョンの状態で、望ましい価値に基づいた行動を取ることが困難になります。


では、思考にとらわれないようにするにはどうしたら良いでしょうか?


マインドフルネスとアクセプタンスの方法

1.     マインドフルネス

マインドフルネスは、現在の瞬間に意識を集中させ、思考や感情にとらわれなくする方法です。例えばこんな方法があります。


呼吸に集中する:静かな場所で深呼吸をし、自分の呼吸に意識を集中させます。

体の感覚に注意を向ける:座っている感覚、足が床に触れている感覚など、体の感覚に意識を向けます。

周囲の音に耳を傾ける:周囲の音に意識を向け、音が消えたり現れたりするのを観察します。


詳しいやり方は、BANSO-COのセッションで一緒に体験することができます。


2.     アクセプタンス

アクセプタンスは、不快な思考や感情(不安や緊張など)をそのまま受け入れることで、行動を回避せずに、望ましい行動をとりやすくする方法です。


思考を観察する:自分の思考を観察し、それが単なる言葉であることを認識します。

例えば、「私は失敗するかもしれない」という思考が浮かんだら、それを「私は『失敗するかもしれない』と思っている」と客観的に認識する方法があります。

思考をラベル付けする:自分の思考にラベルを付けることで、思考を客観的に捉えます。

例えば、「これは不安の思考だ」とラベルを付けることで、その思考に対する距離感を持ちます。

思考を手放す:不快な思考や感情にとらわれすぎず、それをそのまま受け入れ、行動に移す力を取り戻します。


価値観に沿った行動を取るために

価値観に基づいた行動を取るためには、小さなステップから始めることが重要です。

例えば、自己成長を大切にしたいとい「価値」(価値観)を持っている場合、どのようなステップが考えられるでしょうか。


自己成長を大切にしたいときのスモールステップ

例)

・毎日5分間の読書や新しいスキルを学ぶ時間を確保する。

・興味のあるオンラインコースに登録する。


こちらに関しては、前回や次回以降でもご紹介予定なので、ぜひご覧ください。


こういった技法やエクササイズを用いることで、心理の柔軟性が向上し、個人の生活の質や満足度が高まることが確認されています(Gloster et al., 2017)。


今日からできること

まずは、自分の価値観に基づいた小さな行動を一つ選び、実践してみましょう。例えば、健康を大切にする場合、毎朝の散歩を始めることができます。


また、認知的フュージョンにとらわれそうになったら、紹介したマインドフルネスやアクセプタンスの技法を試してみましょう。

BANSO-COのセッションではこういったエクササイズなども一緒に取り入れながら、悩み事やその解決方法を一緒に探していくことができますので、ぜひお気軽に試してみてくださいね。

 

この記事を書いたのは、臨床心理士・公認心理師の大野史です。


<専門分野・得意領域>認知行動療法、アクセプタンス&コミットメントセラピー、SST、集団療法、マインドフルネス、うつ病、気分障害、不安症、発達障害、ADHD、自閉スペクトラム症


ご自身にとって大切なこと、どんな人生を送りたいかについてのご相談や困りごとがある方は、ぜひBANSO-COの専門家ばんそうメイトにお気軽にご相談ください。



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