「何度言っても子どもが言うことを聞かない!」そんなとき親が知っておきたい“行動”の見方

「何度言ったら分かるの!」
朝、何度声をかけても着替えない。宿題をするよう言うと、急に遊び始める。ゲームをやめる約束なのに、なかなかやめない。
毎日同じことを繰り返していると、親も疲れてしまいます。
「この子はどうしてこんなに言うことを聞かないんだろう」「もっと厳しく叱った方がいいのかな」そんなふうに考えることはありませんか?
こういうときは「この子はどうしてこうなんだろう」と考える前に、「この行動は、どんなときに起きているんだろう?」と「行動」に注目してみると、少し違った見方ができることがあります。このニュースレターで、具体的に一緒に考えていきましょう。

執筆者:大石 知佳
保有資格:公認心理師、臨床心理士(BANSO-CO ばんそうメイト)
「困った子」ではなく「困った行動」を見る
たとえば、宿題を始めるよう言うと、毎回子どもが大声を出すとします。親としては、「わがまま」「反抗的」「我慢ができない」と感じるかもしれません。
でも、「この子はわがままだ」とその子の性格として捉えてしまうと、具体的に何を変えればよいのかが分かりにくくなります。
そこで、いったん性格の話から離れて、「宿題をするように言われると、大声を出す」と、具体的な行動に着目してみます。それだけでも、少し景色が変わります。
行動の「前」と「後」を見てみる
応用行動分析(ABA)では、行動そのものだけではなく、その行動の前後に何が起きているのかを見ることがあります。
たとえば、
宿題をするよう言われる
→子どもが大声を出す
→親が「もういい!」と言って、その日は宿題を中断する、
という流れが毎回起きているとします。
子どもの立場から見ると、大声を出した結果、「やりたくない宿題をしなくて済んだ」ということになります。
もちろん、子どもが計算して親を困らせているという意味ではありません。私たちの行動は、自分でも意識しないうちに、その前後の出来事とセットになっていることがあります。
だから、「どうしてこんなことをするの?」と本人の性格だけを考えるのではなく、「これって、いつもどんなときに起きるんだろう?」「このあと、何が起きているんだろう?」と観察してみる。そうすることで、行動が起きやすくなっている条件が見えてくることがあります。
できていないことより、できていることを具体的に見る
親はどうしても、「また片付けていない」「また宿題をしていない」という「できていないこと」がものすごくよく目に入ります。
でも、「昨日は声をかけて10分後だったのに、今日は5分後に始められた」「いつもは全部手伝わないとできないのに、今日は一つだけ自分でできた」そんな小さな変化もあります。
こういった、「昨日と今日の差」「いつもと今日の差」という小さな差も大事な情報です。そのとき、「えらいね」だけでなく、「言われてから自分でランドセルを片付けられたね」「今日は5分で宿題を始められたね」と、何ができたのかを具体的に伝えてみましょう。
そうすると、子どもにとっても、「どんな行動をするとよいのか」「何ができたか」が分かりやすくなります。
指示を具体的にしてみる
大人の指示の出し方にも、子どもに伝わりやすくするポイントがあります。大人には簡単に思える指示でも、子どもにとっては曖昧で、分かりにくいということがよくあるからです。
たとえば、「早く準備して」と言われても、何をすれば「早く準備する」ことになるのか分からず、子どもは「で、何をしたらいいの?」となることがあります。そんなときは、「まずパジャマを脱ごう」「次に、この服に着替えよう」くらい具体的にした方が動きやすいこともあります。
よく言う「ちゃんとして」も同じです。「どうしたら『ちゃんと』なのか」を具体的な行動で伝えると、子どもにとって分かりやすくなります。また、一度にいくつものことを言われると難しい子の場合は、一つずつ伝えることで行動しやすくなることもあります。
今日からできる「3つの観察」
困った行動が起きたら、すぐに叱る前に、可能であれば次の3つを観察してみてください。
①その直前に何があった?
何を言われた?どんな状況だった?疲れていた?予定が突然変わった?
②実際に子どもが何をした?
「わがままだった」ではなく、「大声を出した」「机から離れた」「10分間ゲームを続けた」など、目で見える「行動」として捉えます。
③その後、何が起きた?
親が注意した?要求がなくなった?誰かが助けてくれた?注目してもらえた?
何日か観察していると、「あれ、これっていつも夕方に起きるな」「急に言われたときに多いかも」「これをすると、毎回私が全部手伝っていたな」と、一定のパターンが見えてくることがあります。
親の余裕も、条件の一つです
子どもの行動について考えるとき、忘れてほしくないのが親自身の状態です。
仕事をして、家事をして、子育てをして。自分が疲れている日に、何度も同じことが起きたら、毎回落ち着いて対応するなんて難しいですよね。穏やかに対応できない日があるのは当然です。
「正しい対応をしなければ」と自分を追い込む必要はありません。子どもだけでなく「今日は私も余裕がなかったな」「この時間帯、親子ともにつかれているな」というのも立派な情報で、行動が起きる条件の一つになっていることがあります。
とはいえ、毎日のことだからこそ、親子の中だけではパターンが見えにくいこともあります。
「何を変えたらいいのか分からない」「いろいろ試したけれどうまくいかない」「そもそも、どこを見たらいいのか分からない」そんなときは、相談の場で専門家と一緒に整理してみるのも一つの方法です。
誰かに話してみることで、「子どものあの行動は、この場面で起きやすいのかもしれない」「自分のここの関わり方を少し変えてみるとどうだろう」と、その子や家庭に合った次の一手が見つかることもあります。
相談のタイミングは、「もうどうにもならない」となってからでなくても大丈夫です。「ちょっと困っている」「一緒に整理してほしい」くらいの段階から、積極的に活用してもらえたらと思います。
「何度言っても言うことを聞かない」というときほど、「この子はどうしてこんな子なんだろう」ではなく、「この行動は、どんなときに起きているんだろう?」と見方を変えてみる。自分たちだけでは見えにくいときには誰かと一緒に整理しながら、親子双方にとって少し楽な方法を探していけたらと思います。
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