休職から職場復帰へ――「もう働けそう」と思ったときに確認したい5つのポイント

メンタルヘルス不調で仕事を休んでいると、少し元気が戻ってきた頃に「そろそろ会社に戻らなければ」「長く休むほど戻りづらくなるのでは」と焦りを感じることがあります。家で普通に過ごせるようになり、友人と食事に行ける日も増えると、「もう働けるのでは」と思うのも自然なことです。
一方で、家で自分のペースで過ごせることと、決まった時間に起き、通勤し、数時間集中し、人と関わりながら働き続けることには違いがあります。復職は「一日出勤できるか」だけではなく、その生活をある程度安定して続けられるかという視点で考えることが大切です。復職を考えるうえで重要な事項を、このニュースレターでお伝えします。

執筆者:大野 史
保有資格:公認心理師、臨床心理士(BANSO-CO ばんそうメイト)
復職は「元気になった証明」ではなく、働く生活への移行
休職中は、体調に合わせて横になったり、予定を変更したりできます。しかし仕事に戻ると、起床時間、通勤、会議、締切、対人関係など、自分だけでは調整できない要素が増えます。だからこそ、「気分が良い日が増えた」ことは大切な回復のサインですが、それだけで復職の準備が整ったとは限りません。
逆に、100%元気になるまで戻ってはいけないということでもありません。大切なのは、主治医や職場と相談しながら、現在の回復度と仕事で求められる負荷の間に大きなギャップがないかを確認することです。
確認したい5つのポイント
①仕事に合わせた時間に起きられるか。平日の勤務を想定した時間に起床し、午前中から活動できる日が安定しているかを見てみましょう。
②日中の活動を続けられるか。短時間の外出だけで一日寝込むような状態なら、勤務時間を支える体力がまだ十分でない可能性があります。
③通勤を想定した外出ができるか。在宅勤務であっても、朝から身支度をして一定時間活動する練習は役立ちます。出社が必要なら、実際の通勤時間帯に近い時間に外出してみる方法もあります。
④一定時間、集中できるか。読書やパソコン作業などを通じて、30分、1時間と集中できる時間を確認してみましょう。
⑤調子が落ちたときの対処法があるか。復職後は毎日同じ調子とは限りません。「眠れない日が続いたら誰に相談する」「疲労が強い日は昼休みに休む」など、自分なりの対応策があることは大きな支えになります。
「ならし運転」をしてみる
いきなりフルタイム勤務の生活に戻すのではなく、可能な範囲で生活を仕事に近づけていきます。朝決まった時間に起きる、図書館やカフェで午前中を過ごす、昼食後も一定時間活動する、夕方まで起きて過ごす、といった練習です。
ここで大切なのは「できた・できなかった」で自分を評価することではありません。午前中は大丈夫だったが午後に強く疲れた、外出した翌日は疲労が残った、という情報も復職準備に役立つ大切なデータです。
復職後こそ、ペースを上げすぎない
復職すると、「休んだ分を取り戻したい」「迷惑をかけたから頑張りたい」と無理をしてしまうことがあります。しかし、最初から以前と同じパフォーマンスを求めると負荷が急に高くなります。可能であれば、職場と業務量や勤務時間、残業、出張などについて相談し、段階的に負荷を戻していくことが大切です。
また、復職直後の疲れは必ずしも「復職に失敗した」という意味ではありません。新しい生活リズムに身体と心が慣れるまでには時間が必要です。疲労がどの程度残るのか、週末に回復できるのかを観察してみましょう。
最後に
復職はゴールではありません。その後、自分らしく安定して働き続けるためのスタートです。焦って「戻れること」を証明するより、「戻った後も続けられる状態を作ること」を大切にしてください。
休職に至った背景、調子を崩しやすいサイン、職場で必要な配慮、回復のために役立ったことを整理しておくと、復職後の再発予防にもつながります。一人では判断が難しいときには、主治医、職場の産業保健スタッフ、心理職などと一緒に考えてみてください。BANSO-COでも、いつでもお話をうかがい、一緒に考えます。
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